朝の台所で、スケールに載せた器へコーヒー豆を量り入れる様子

新しい豆の袋を開けて、ミルの前で計量スプーンを止める。一杯分、さて何gにしましょうか。

小さなコーヒーカップとマグでは、飲みたい量が違います。ペーパードリップとフレンチプレスでは、湯と粉が触れる時間も違います。「一杯」という言葉からいったん離れ、豆と湯の比率を決めると、最初のレシピはすっきり選べます。

200gの湯なら豆12g。まずは1:16〜17から

ペーパードリップなら、最初に覚える比率は豆1gに湯16〜17gほど。入門ガイドには1:14〜20という幅もありますが、最初の一杯には1:17前後が勧められています。

計算しやすいのは、湯1Lに豆60g。湯の量へ0.06を掛ければ、豆の量が出ます。

注ぐ湯豆の量カップのイメージ
150g9g小さなコーヒーカップ
200g12g小さめのマグ
250g15gマグ一杯
300g18gたっぷり飲みたいとき
500g30g二杯分をまとめて

表はカップへ入る量ではなく、器具へ注ぐ湯の量です。粉が湯を含むため、出来上がりは少し少なくなります。200gの湯に豆12gで淹れて軽く感じたら、次は13gへ。濃く感じたら11gへ。この1gが、自分の一杯を見つける目盛りになります。

同じ15gでも、淹れ方で挽き目と時間が変わる

豆15gと湯250gは、ペーパードリップにもフレンチプレスにも使える出発点です。そこから先は、湯が粉を通り抜けるのか、粉を湯へ浸して待つのかで変わります。AeroPressは本体の目盛りと短い抽出時間を使うため、器具のレシピを一組として扱います。

淹れ方一杯目の量挽き目時間
ペーパードリップ豆15g/湯250g中挽き〜中細挽き湯が落ち切るまで約3〜4分
フレンチプレス豆15g/湯250g粗挽き約4分浸してから押す
AeroPress豆16〜18g/目盛り4まで中細挽き混ぜて30秒待ち、ゆっくり押す

AeroPressの現行手順では、自分で中細挽きにした豆は30秒、市販の中挽き粉は60秒待ちます。同じ器具でも、粉の細かさに合わせて時間を変えているのがポイントです。

ペーパードリップは、落ちる速さが挽き目の手がかり

ペーパードリップでは、挽き目が味の出方と湯の流れを同時に変えます。細かな粉ほど湯に触れる面積は増えますが、フィルターを通る速さはゆっくりになります。実際の粉には大小の粒が混ざり、その粒度分布も抽出される成分へ影響します

最初は中挽きから始め、豆15gと湯250g、注ぎ方を揃えて時計を見ます。2分ほどで落ち切り、飲んだ印象も軽いなら一段細かく。5分近くかかり、舌に乾くような重さが残るなら一段粗く。味の言葉だけで決めるより、時間と一緒に見る方が次の一手を選びやすくなります。

注ぐ速さや回数も湯の流れを変えます。挽き目を試す日は、注ぎ方をいつも通りにしておきましょう。

フレンチプレスは、4分後の濃さを豆量で整える

フレンチプレスは、粗挽きの豆と湯をポットの中で4分ほど一緒にします。ESPROの抽出ガイドも粗挽きと最長4分を出発点にし、プランジャーは15秒ほどかけて押しています。

粉を湯へ浸す方法では、豆と湯の比率が飲みごたえを整える大きな手がかりです。浸漬式抽出の研究でも、十分に時間を置いたときの濃度は、主に豆と湯の比率で動くことが示されています。まず豆15g、湯250g、4分を固定し、濃さを変えたい日は豆を1gずつ動かしてみましょう。

粗挽きは味だけでなく、金属フィルターにも合います。カップに細かな粉が多く残る、プランジャーが重いと感じるときは、一段粗くすると扱いやすくなります。

濃さと「味の出方」を分けると、次の一手が見える

豆を増やしたときの変化と、挽き目を細かくしたときの変化は同じではありません。豆と湯の比率は、カップの濃度や口当たりを大きく動かします。挽き目、時間、注ぎ方は、粉から成分が出る過程と湯の流れを動かします。

湯温も抽出の速さに関わりますが、最初からすべてを動かす必要はありません。87℃、90℃、93℃で濃度と抽出率を揃えたドリップコーヒーでは、湯温だけによる味の差は確認されませんでした。まず湯温を毎回おおよそ揃え、豆量か挽き目を一つ選ぶ方が、変化を読み取りやすくなります。

気になったこと次に変えるものそのままにするもの
口当たりをもう少し濃くしたい豆を1g増やす湯量、挽き目、時間
ドリップが早く落ち、味が軽い挽き目を一段細かくする豆量、湯量、注ぎ方
ドリップに時間がかかり、後味が乾く挽き目を一段粗くする豆量、湯量、注ぎ方
フレンチプレスに粉が多く残る挽き目を一段粗くする豆量、湯量、4分

おいしかった一杯は、豆の名前、豆量、湯量、挽き目、時間を一行だけ残しておきます。コーヒースケールの選び方では量と時間を記録する道具を、コーヒーミルの選び方では挽き目を変えやすいミルを紹介しています。

湯200gなら豆12g、250gなら15g。そこへ淹れ方に合う挽き目と時間を組み合わせれば、一杯目の基準ができます。飲み終えたら、次に動かすのは一つだけ。そうして残った数字が、いつもの味になっていきます。