冷たいコーヒーを飲みたいのは、今でしょうか。それとも、数時間後でしょうか。急冷式と水出しは、どちらも冷たい一杯になりますが、冷やすタイミングが違います。
この記事で比べる水出し(コールドブリュー)は、粉またはコーヒーバッグを水へ浸す浸漬式です。UCCの水淹れアイスコーヒー解説が分けているように、水を一滴ずつ落とす滴下式は器具も流れも異なるため、ここでは扱いません。
今から作るなら、熱湯で抽出して氷で冷やす急冷式。先に仕込めるなら、粉を水へ浸して冷蔵庫で待つ水出し。 まず時間で分けると、味の言葉だけで迷わず、手元の道具で試せる方を選べます。
今の一杯か、数時間先の一杯かを選びます。
今なら急冷式
熱湯で濃く抽出し、レシピに含めた氷で冷やします。
数時間先なら浸漬式水出し
粉・水・浸す時間を一組にして、冷蔵庫へ入れます。
今の一杯は急冷、数時間後の一杯は水出し
急冷式は、熱湯で抽出したコーヒーを氷へ当てて冷やします。いつものドリッパーを使えますが、ホットコーヒーと同じ湯量で淹れてから氷を足すと、その分だけ薄まります。粉・湯・氷・出来上がり量までを、一つのレシピとして扱う方法です。
水出しは、冷たい一杯を先に仕込みます。粉またはコーヒーバッグを水へ浸し、冷蔵庫で数時間かけて抽出します。ドリッパーや熱湯は使わない一方、蓋のできる容器、粉を取り出すためのバッグやフィルター、冷蔵庫の場所が必要です。
| 選ぶ条件 | 急冷式 | 浸漬式の水出し |
|---|---|---|
| 飲む時刻 | 今から抽出して飲む | 数時間前に仕込めるとき |
| 抽出 | 熱湯でドリップ | 水へ浸す |
| 一組で決めるもの | 粉・湯・氷・出来上がり量 | 粉・水・浸す時間 |
| 手元で確かめる道具 | ドリッパー、フィルター、耐熱の受け容器、氷 | 蓋のできる容器、不織布のフィルターバッグ、冷蔵庫の場所 |
| 最初に固定する数字 | 湯で抽出する量と、氷を含む出来上がり量 | 粉と水の比率、冷蔵庫へ入れた時刻 |
この二つは、同じレシピの「湯を水へ替えた版」ではありません。急冷式の氷量を水出しへ足したり、水出しの粉と水の比率で熱湯抽出したりせず、一つの公開レシピを最初から最後まで使います。
一杯を急冷するなら、粉16g・湯150g・氷70gから
まずは氷まで決まった配合で淹れてみましょう。KurasuのV60用アイスレシピは、粗挽きの粉16g、91℃の湯150g、サーバーに入れる氷70gです。湯通しの湯はこの150gに含めず、先に捨てます。
氷を入れたサーバーへドリッパーと粉をセットしたら、次の順で注ぎます。重さの表示は、氷と器具を載せてゼロに戻したあとに読む湯だけの累計です。
| 注ぎ始める時刻 | 今回注ぐ湯 | はかりの累計表示 |
|---|---|---|
| 0:00 | 40gを約10秒で | 40g |
| 0:40 | 60gを約10秒で | 100g |
| 1:10 | 50gを約10秒で | 150g |
元レシピでは一投目のあとにスプーンで3往復、三投目のあとに一周混ぜ、落ち切りの目安を約2分10秒にしています。最後にサーバーの氷を溶かすように混ぜます。これは提供元の手順で、当サイトが実機で味や時間を検証したものではありません。
湯150g+氷70gは、投入する水分が計220gという意味です。粉が水分を含むので、出来上がり220mLを約束する数字ではありません。グラスへさらに氷を足すと、その分も薄まります。最初はサーバーで急冷した一杯を味わってから、追加の氷を決めるとよさそうです。
複数杯を明確な出来上がり量で作るなら、キーコーヒーの急冷例には別の一式があります。3〜4人分としてフレンチローストの粉50gを使い、熱湯で300mLまで抽出したあと、氷を加えて液面を500mLに合わせる手順です。こちらは「湯300mLを注ぐ」のではなく「抽出液が300mLになったところで止める」レシピです。
一杯用の粉16gと、大きいレシピの出来上がり500mLをつなぎ合わせず、選んだ一式で作ります。
水出しは、粉36gと水450gを一晩冷蔵庫へ
粉から作る一式なら、LIGHT UP COFFEEの水出しレシピがあります。用意するのは粉36g、水450g、抽出用のバッグと蓋のできる容器。粉をバッグへ入れ、水を注いで容器を閉じ、冷蔵庫で12時間待つ手順です。お茶パックなどを使う案内ですが、選ぶ際はコーヒーの抽出にも使えるものを確認します。
比率は粉1に水12.5。450gは容器へ入れる水の重さで、取り出せるコーヒーが450mLという意味ではありません。粉を取り出したら、まず氷を足す前の濃さを見ます。元レシピには少量の湯で蒸らす補足もありますが、ここでは水から浸す基本手順を使います。
市販のコーヒーバッグを使う場合は、袋に記載された水量と時間を一組で使います。UCCのコーヒーバッグによる水淹れ手順も、バッグを少量の常温水で浸してから残りの水を注ぎ、水量はパッケージ表示、抽出は冷蔵庫で指定時間と案内しています。同じ30gのバッグでも、別商品の水量を移さないためです。
キーコーヒーの公開例は、同社の30gバッグ1個に常温水500〜1,000mL、冷蔵庫で4時間という製品別の条件です。この幅は、一般の粉30gに使える一つの黄金比ではありません。バッグを選んだときに、その商品の一式として使います。
粉から作る36g・450g・12時間と、製品別のバッグの手順は別のレシピです。仕込んだ時刻と取り出した時刻、飲むときに足した氷を残しておくと、次に変えたところが分かります。
「まろやか」「きりっと」、味の違いはどこから?
冷たいコーヒーでも、豆の焙煎度は味の方向を大きく変えます。2024年の浸漬式の官能研究は、一つのブレンドを二つの焙煎度、4・22・92℃、異なる抽出時間で比べました。この条件では焙煎度の影響が最も大きく、次が温度、時間の影響は比較的小さいという結果でした。冷たい抽出では、時間が長い試料で渋味が増える変化も見られました。
ただし、研究は粉を浸した濃縮液を2倍に薄め、冷やして比べたもの。V60で急冷した一杯との直接比較ではありません。「水出しはまろやか」という一言で選ぶより、苦味や焙煎香が気になるときは豆、薄さが気になるときは氷による希釈も見た方が、次に変える所を絞れます。
最初の二回は同じ豆と水を使い、急冷式では選んだ急冷レシピ、水出しでは選んだ水出しレシピを、それぞれ一式のまま試してみましょう。これは方式だけを分離する実験ではありませんが、家庭で「どちらをまた作りたいか」を決めるには役立ちます。次に調整するのは、好みに近づけたい方の一方式だけです。
| 飲んで気になること | 次に一つ変えるなら |
|---|---|
| 追加の氷が溶けると薄い | 粉を増やす前に、グラスへ足す氷を減らして比べる |
| 冷やした直後から濃すぎる | 出来上がりに少量ずつ水を足し、飲みたい濃さを探す |
| 水出しで口に渋さが残る | 同じ豆量・水量のまま、浸す時間を短くして比べる |
| 苦味や焙煎香を軽くしたい | 抽出方式を替える前に、今より浅めの豆を候補にする |
表は研究と希釈の考え方を家庭で試すための調整案です。別の豆でも必ず同じ結果になるという保証や、提供元のレシピそのものではありません。一度に方式・豆・配合を全部替えるより、不満に近い一か所から動かしてみましょう。
専用器具を足す前に、手元の一式で一回作る
急冷式を選んだら、まず手元のドリッパーとフィルターを使えます。熱い抽出液を受ける容器は、耐熱かどうかと、ドリッパーを安定して載せられるかを確認します。粉と湯の基準がまだ決まっていなければ、一杯に使う豆量と挽き目の決め方を先にそろえると、氷による変化を追いやすくなります。ドリッパー自体がない場合は、最初のドリッパーを形から選ぶ記事で必要な一式を確認できます。
水出しを選んだら、冷蔵庫へ入る蓋つき容器と、コーヒー抽出に使える不織布のフィルターバッグがあれば、専用ポットから始める必要はありません。使う水を先に見直したい場合は、水道水・浄水・ボトル水を比べる順番へ進めます。
どちらの時間も道具も合わない日は、抽出済みの無糖アイスコーヒーを選ぶ方法もあります。
今飲むなら急冷式、数時間前から仕込めるなら水出しを試してみましょう。選んだレシピの粉・水・時間をひとそろいで記録すると、次に濃さを変えたいときも調整しやすくなります。急冷式は、氷もその記録に含めます。